TADAです、高専の夏休みはまだ始まってません…。
ちなみに今日は前期期末試験の最終日でした。

何を隠そうにも、世界大会から帰ってきて6日後に前期期末試験が待ち受けていたわけです。 
それでも自分たちはまだマシな方で、過去の先輩方の例を見ると、帰国の翌日が試験日だった事もあるようです、なかなか都合のいいようには行きません。

さて、世界大会から1週間以上が経ちました。
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 改めて大会を振り返って、Hefeiでの大会はどんな模様だったか、僕らは何を見て何を学んだのかを少しでも多く紹介したいと思います。今年の世界大会推薦枠は1枠だけでしたから、Hefeiでの体験をシェア出来る人が少ないです。これに関してはかなり残念に思います。

少ない分だけ僕らが頑張らないといけません。
この記事を読んで、少しでも大会のイメージが伝われば嬉しく思います。 
①,会場周辺
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会場入口から市街地を撮った写真です。天気は晴れですが、大気汚染が深刻で青空は見れませんでした。

大会の会場は「オリンピックセンター(?)」みたいな場所で行われました。
世界大会推薦枠が発表された時には「会場が例年に例を見ないほど狭いので」という理由で枠が絞られましたが、実はこの会場は、推薦枠を決める時点で予定されていた体育館とは別の場所です。
会場が変わって、狭い問題は解決したのかな?と期待しましたが、全然そんなことはありませんでした。普通の体育館に、サッカー・レスキュー・ダンス全てを詰め込んだ感じです。
日本大会の体育館のほうが広かったと思います。

②,サッカーフィールド
世界大会のフィールドは毎回何かしら文句が付く仕様なのですが、今年も期待を裏切らない仕様でした。
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フィールド自体はフェルトのような「衝撃吸収マット」のようなもの、白線はスプレーペンキが使われています。はっきり言って最悪でした。写真に写っているのは、受付を受けてすぐ撮った写真ですが、ロボットが走るとペンキが剥がれてラインが消えていってしまいます。
それによって、ほとんどのロボットが白線を読めず、運営は定期的にスプレーで白線を塗りなおしていました。しかし今度は、それによってラインが物理的に凸形状になっていたため、この上ないほどに走りづらいフィールドだったと記憶しています。

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一日目、調整を初めてすぐの写真ですが、どこかのチームがゴールバーを折ってました。
2センチスクエア以上の、身も詰まった硬い部類の木材だったんですが、どうやったら折れるのか…。GcraudPro機が本気で突進しても折れない程度だと思うので正直驚きました。
世界大会だと、出力が桁違いに高いロボットも多いです。
審判は全員、黒い革手袋をしてボールを回収してました(怪我するので)。

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ホテルに帰ってロボットをメンテナンスした時の写真です。
見ての通り、ロボット内部にオムニホイールによって巻き上げられたフィールドのフェルトの綿が敷き詰められています。その上には、白い粉がかぶっているのが見えます。この白い粉の正体は、ホイールで削れた白線のペンキです。
オムニホイールは、今回は性能が落ちにくい仕様の設計だったのもあって、oリングをはめ直す以外のメンテナンスは必要なかったんですが、マシン内部の綿には悩まされました。
湿気を吸って、ショートの原因になる可能性も否定出来なかったので、全ての綿を抜いて、綺麗にメンテナンスして6日間を乗り切りました。

③,いろいろな国の人との交流
僕が世界大会で一番、得るものが大きかったと思ったのは、他チームとの交流や、スタッフの方々とのコミュニケーションを通じて、お互いの交流を深め合う事でした。
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ある試合が終わった後、中国の現地のボランティアの審判さんに「ロボット見せて」と言われました。
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こちらも試合後です。
いろいろな方が自分たちのロボットに興味を持ってくれました。
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パドックの隣の机のチームが、ロボットについて色々質問してくれました。
ハードウェアは2台とも自分が設計制作しているので、ロボットに関する質問は、その殆どが僕の方に飛んで来てしまします。自分は英語が全然喋れなかったので、とても焦りました。
あの手この手で何とかして、伝えたいことを伝えようとしました。

手にスマホの電卓を持っているのは「ロボットにいくら位お金かかったの?」という質問に応えたかったのですが、日本円で15万円くらいで、米ドルだといくらぐらいになるよ、みたいな説明を、どうやって文法組み立てて喋れば良いのか全然わからなかったんです。

自分は、なんとかして伝えたい事を伝えたかったので、電卓に日本円の15万を入力して「This is the cost of one robot」と説明→「Now one Doller nearly equals one hundred yens」今は1ドルは日本円で100円ぐらいだよーみたいな事を説明→電卓の15万を100で割って1500という数字を見せながら「Its dollers」ドルだとこの値段だよ
と説明したら「Oh...I see I see, 」と反応が。なんとか伝わりました。

この写真は動画の1フレームをキャプチャしたものなんですが、動画を見返してみると本当に文法がメチャクチャなことばを喋っているのがわかります。それでも、伝えたかったモノは伝わりました。
きちんとした英語が喋れないのは確かに残念なんですが、伝えたいものがあって、それを伝えようと思う強い意志さえあれば、相手も受け入れてくれるようにアプローチしてくれるし、結果的に伝えたいものはちゃんと伝わる。
これは「英語は文法や発音がしっかりしていないと伝わらない」と思っていた僕にとって意外な経験でした。大事なのは話の中身であって、中身さえ有ればメチャクチャな言葉でも伝わっちゃいます。

他にも、自分たちの方から他チームへ質問をしに行く事もありました。
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オープンリーグの世界大会優勝チームのMacauのロボットです。
メンテナンス中のところを写真撮らせてもらいました、ありがとうございました。
モーター・モーターマウントその他カーボンフレームやデバイス全てが企業宛の特注品みたいです。元はといえばEMM-CSの代の先輩が制作したマシンなんだそうですね。EMMというのは学校の名前で、このロボットを制作しているチームはEMM-CSの同じ学校の後輩という事なんだそうです。
ハードウェアでMacauに勝てる日は遠いですね…設計が明らかにジュニアの域を超えてしまっています。

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ライトウェイトセカンダリの世界大会優勝チーム"S.P.Q.R"です。
スーパーチームで一緒になった、スペインのチームです。

バトル自体はそこまで強くなかったんですが、ロボットに実装されているユーザーインターフェースがとても優秀でした。Zig-Beeを使ってPCと無線通信することで、ロボットがどんな状況下にいるのかをリアルタイムでモニターしながらプログラムを実装出来るようになっていました。
彼らのプレゼンテーションは運営から高く評価されたようで、得失点差や勝敗ではMacauのチームに負けながらも、ポスターやプレゼンテーションで高得点を稼ぎ、見事世界大会優勝を果たしました。
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「自分たちのチームロゴをイメージした」というロボット両側の羽のようなスリッドがカッコ良かったです。基板もエッチングによって精巧に作られていました。配線も美しく、文句なしの世界大会優勝です。
おめでとうございます!
④,日本チームとの交流
世界大会の大きなメリットの一つに、日本チームとより深い交流が出来るようになる点も忘れてはいけません。世界大会では、自分たち日本チーム以外の全てのチームが、日本語以外のことばを喋っています。そうなってくると、とりあえず日本語通じる人と一緒に行動したくなります。自然の法則です(笑)

例えばウチの本家と、NitroやMrobotsなど世界大会常連のチームとは今でも交流が深いですが、これも以前の世界大会で、日本チーム同士が仲良くなって生まれた交流です。

で、今回一緒に世界大会行ったいろんなチーム、サッカーオープンリーグのHAKUTOやレスキューLINEのroboticsXやダンスのロボライブ!など。多くの日本チームと交流が出来たと思います。
また来年のJAPANで顔合わせが出来るといいですね(roboticsXは引退しててもJAPANには来るそう)。

ちなみに、大会中はHAKUTOのお二人に色々と助けてもらったので…。
はんだこてと乾電池貸してくれたり、動画撮ってくれたり、熱出した時心配してくれてたり。
色々と感謝です、ありがとうございました!

⑤,ルールが変わるらしい
ブログにもサラッと書いたんですが、後から思うと超重大ニュースだったんじゃないかと。
日本に帰ってツイッター見ると、日本のロボカップジュニアは大荒れでした(笑)

具体的には、赤外線ボールは近いうちに廃止して、ボールはオレンジ色のカラーボールか何かに移行するよ、っていう内容ですね。世界大会の会場で、運営の代表から選手・メンターへの説明もありました。
今までも、アウトオブバウンズのルールが適応されたり、それ以前にボールから出る赤外線がパルスに変わったりしましたが、どのルール変更も必ず「移行期間」が存在するみたいです。

個人的な見解を以下に述べておきます。
僕は、技術的な面においては全然問題無いと思っています。技術を持っている人が「自分たちの技術」なんて言わずに、何らかの形でシェアしていってやれば良いだけの話です。

懸念としては、今まではArduinoや、e-Gadgetなどのメインボードに、単体ではそうコストの高くない赤外線センサを取り付けるだけで、ボールの位置を把握して競技をする事が出来ました。
赤外線ボールの利点は、現状のルールでは、いくら高価なセンサを使おうが、それによって大きく有利になり得ない点にあります。
現段階で、ロボカップジュニアのサッカーでは、いかにアウトオブバウンズをしないか、いかに早くボールに回りこむか、等が大きな要素だと思います。これらは基本的に、お金をかけてデバイスを揃えても、プログラムによってロボットの強さは大きく変わってきます。
プログラミングの能力次第では金銭的な理由で不利には成り得ません。これが現状のルールの良い点です。

ただ、これをカラーボールにしてしまうと、カラーセンサやカメラ等の映像系デバイスは、高価なものほど極端に性能が高いのが現状です。安価/高価によって性能が大きく変わることのない赤外線式に比べて、金銭的な理由で有利/不利が大きく決まってしまいます。

自分が懸念している点は以上です。
運営側も、一度選手を集めてミーティングでもしてみたらどうでしょう?
選手視点での意見も、大会をより良くする上で少なからず役に立つはずだと思っています。運営側から選手に、今後の大会を進めていく上で意見がほしい、なんていうアプローチもあって良いんじゃないかな?と思っていたりします。

⑥,最後に
個人的な話になっちゃうんですが

NPO法人 科学技術教育ネットワーク主催の"NESTロボコン"が8/30日に東京都品川区の都立産業技術高等専門学校品川キャンパスにて開催されます。
自分は世界大会マシンで試合と、世界大会のプレゼンテーションをする予定です。
関東圏の方、それ以外の方でもぜひぜひ。

エントリは8/9(日曜日)まで受け付けているようです。見学も自由だったと思います。
個人的にTADAとかKpと話がしたいぜ!って方はぜひ声かけてください(^^ゞ

大会HP:http://www.npo-nest.org/workshop/robocon2015.html


もうひとつ、個人的に

NESTロボコンより前の話になるんですが、8/22と23に北九州市で開催される北九州オープンにTADA個人で参加予定です。JAPANの時のオープンリーグのメンバーが沢山集まっていたので、行きたくなっちゃいました!

って事で、きっと当日には北九州に顔出していますので、気軽に声かけてくれると嬉しいです。
大会要項はこちら:http://www.city.kitakyushu.lg.jp/ko-katei/11800141.html


あとひとつ、9月中に大阪のダイセン工業さんの講習会に遊びに(殴りこみに)行こうかと企んでいます。
多分その頃には、オープンリーグ移行後に製作中のマシンも持っていけるので、関西の主要メンバーたちと技術交流出来るのは楽しみだな〜と思います。

帰りはそのまま岡山県の実家に寄ってから、東京に戻ろうかと思います。
要は帰省のついでに大阪に寄るってだけです。ただ気分的には大阪メインで実家はついでです(ぇ 

以上です、長くなっちゃったのと、試験明け眠いので誤字脱字多いかもしれません。
もし見つけたらまたあとで修正します。
それでは!